実際の減収がない場合の後遺障害逸失利益 | 弁護士法人ALG 交通事故

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「後遺障害逸失利益」- 実際の減収がない場合 -

実際の減収がない場合

1|実際の減収がない場合でも後遺障害逸失利益は認められるのか

損害賠償制度は、被害者に生じた現実の損害を填補することを目的とするものです。

そのため、後遺障害と認定されても、収入に減少が生じなかった場合には、原則として、後遺障害逸失利益の請求は認められないと考えられます(最高裁昭和42年11月10日判決民集21巻9号2352頁)。

しかし、実際の減収がない場合でも、特段の事情があるときは、後遺障害逸失利益が認められることがあります。

上記特段の事情とは、例えば、実際に後遺障害によって仕事に支障をきたしており、減収が生じていないのは、職場の配慮や、被害者の努力といった事故とは関係ない要因による場合や、職業の性質に照らして、特に昇給、昇進、転職等に不利益な取り扱いを受ける恐れがある場合などが想定されます。

2|後遺障害逸失利益と実際の減収

後遺障害逸失利益を算定する際、収入の減少の有無・程度は、極めて重要な要素です。

実際の減収が生じていない場合、逸失利益を否定した判例があります。

したがって、実際に減収が生じている場合の方が、後遺障害逸失利益は認められやすいといえます。

3|実際の減収がない場合の保険会社の対応

自賠責保険

支払基準において、減収は要件とされていません。

そのため、後遺障害等級の認定がなされれば、保険金限度額という限度はあるものの、支払基準に基づいて、逸失利益が算定されます。

任意保険会社

任意保険会社からは、実際の減収がないことを理由に、逸失利益が否定されることもあります。

4|実際の減収がない場合に関する裁判例・裁判実務

ア 判例

① 最高裁昭和42年11月10日判決(民集21巻9号2352頁)

「交通事故による傷害のため、労働能力の喪失・減退を来たしたことを理由として、将来得べかりし利益喪失による損害を算定するにあたつて、上告人の援用する労働能力喪失率が有力な資料となることは否定できない。しかし、損害賠償制度は、被害者に生じた現実の損害を填補することを目的とするものであるから、労働能力の喪失・減退にもかかわらず損害が発生しなかつた場合には、それを理由とする賠償請求ができないことはいうまでもない。原判決の確定した事実によれば、被害者は本件交通事故により左太腿複雑骨折の傷害をうけたが、その後従来どおり会社に勤務し、従来の作業に従事し、本件事故による労働能力の減少によつて格別の収入減を生じていないというのであるから、労働能力減少による損害賠償を認めなかつた原判決の判断は正当であつて、所論の判例に反するところもない。」

② 最高裁昭和56年12月22日判決(民集35巻9号1350頁)

「かりに交通事故の被害者が事故に起因する後遺症のために身体的機能の一部を喪失したこと自体を損害と観念することができるとしても、その後遺症の程度が比較的軽微であつて、しかも被害者が従事する職業の性質からみて現在又は将来における収入の減少も認められないという場合においては、特段の事情のない限り、労働能力の一部喪失を理由とする財産上の損害を認める余地はないというべきである。」

「被上告人は、研究所に勤務する技官であり、その後遺症は身体障害等級一四級程度のものであつて右下肢に局部神経症状を伴うものの、機能障害・運動障害はなく、事故後においても給与面で格別不利益な取扱も受けていないというのであるから、現状において財産上特段の不利益を蒙つているものとは認め難いというべきであり、それにもかかわらずなお後遺症に起因する労働能力低下に基づく財産上の損害があるというためには、たとえば、事故の前後を通じて収入に変更がないことが本人において労働能力低下による収入の減少を回復すべく特別の努力をしているなど事故以外の要因に基づくものであつて、かかる要因がなければ収入の減少を来たしているものと認められる場合とか、労働能力喪失の程度が軽微であつても、本人が現に従事し又は将来従事すべき職業の性質に照らし、特に昇給、昇任、転職等に際して不利益な取扱を受けるおそれがあるものと認められる場合など、後遺症が被害者にもたらす経済的不利益を肯認するに足りる特段の事情の存在を必要とするというべきである。」

イ 解説

上記の判例は、実際の減収がない場合の逸失利益に関する著名な判例です。

①判例は、損害について、事故がなかったら被害者が得られたはずの利益と考える、いわゆる差額説に基づいた判断をしたようにも見えます。

ただ、①判例は、同時に、

「労働能力の喪失・減退を来たしたことを理由として、将来得べかりし利益喪失による損害を算定するにあたつて、上告人の援用する労働能力喪失率が有力な資料となることは否定できない」

とも述べています。

また、②判例は、実際の減収がない場合であっても、特段の事情がある場合には、損害=逸失利益が発生することを認める余地があるとの判断をしています。

判例を一連で見ると、裁判所が厳格な差額説の立場に基づいているとはいえないでしょう。

実際にも、下級審裁判例において、実際の減収はないが、それは被害者の努力や、職場の配慮によるものであると認定したり、実際の業務への支障が大きいこと等を認定して逸失利益を認めた事例は少なくありません(東京地裁判決平成13年10月26日交通民集34巻5号1424頁、静岡地判平成15年5月9日自保ジャーナル1498号8頁等)。

そのため、裁判実務においては、実際の減収がないからといって、直ちに後遺障害逸失利益が認められないというわけではありません。

裁判実務では、実際の減収が生じていない場合にも、①昇進・昇給等における不利益、②業務への支障、③退職・転職の可能性、④勤務先の規模・存続可能性等、⑤本人の努力、⑥勤務先の配慮等、⑦生活上の支障などの考慮要素を具体的に主張・立証していくことによって、後遺障害逸失利益が認められる可能性があります。

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