後遺障害逸失利益における自賠責・任意保険・裁判の比較
自賠責の場合
後遺障害逸失利益の計算方法自体は、自賠責の場合も、任意保険会社の場合も、裁判の場合も基本的な考え方は同じです。
自賠責の場合、事故前の収入額が平均給与額を下回る場合、実収入より高い額が基礎収入として認定されることがありえます。
また、外貌醜状のような特殊な後遺障害であっても、逸失利益性や労働能力喪失期間が制限されることはありません。
そのため、計算上、裁判の場合より高額が算出されることもあります。
ただし、自賠責の場合、等級ごとに定められた保険金額から後遺障害慰謝料を除いた額が上限となる点に注意が必要です。
任意保険会社との交渉段階の場合
任意保険会社は、訴訟になった場合のコストや、時間をかけないで解決することから、逸失利益の算定も低額にとどめようとします。
例えば、労働能力喪失期間について、むち打ち症の場合、2年程度と極めて短い期間で計算されることも珍しくありません。
むち打ち症以外の後遺障害の場合も、原則より短い労働能力喪失期間を主張することが多いといえます。
また、自賠責で認定されていない後遺症について、賠償してもらえることはまずありません。
裁判の場合
裁判の場合、交渉より厳しい実損害の立証責任が被害者側に求められますので、単に認定された後遺障害等級に対応する労働能力喪失率等を主張するだけではなく、減収などの後遺障害による損害を具体的に立証する必要があるといえます。
一方、交通事故によって損害が生じたことを立証できれば、自賠責において認定された後遺障害等級に基づく以上の賠償が認められることもあります。