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裁判例:【東京地裁平成元年3月24日判決】

裁判例 【東京地裁平成元年3月24日判決】

No.5

車両が破損したことにより精神的苦痛を負ったとして慰謝料の請求をしたものの、認められなかった事例

【事案の概要】

Xがメルセデスベンツを運転していたところ、後方の安全確認を十分にしないまま後退してきたY車が衝突してきたという事案です。

Xは車両が破損したことによる精神的苦痛を被ったとして慰謝料の請求をしたものの、裁判所は、「不法行為によって財産的権利を侵害された場合であっても、財産以外に別途に賠償に値する精神上の損害を被害者が受けたときには、加害者は被害者に対し慰謝料支払の義務を負うものと解すべきであるが、通常は、被害者が財産的損害の填補を受けることによって、財産的侵害に伴う精神的損害も同時に填補されるものといえる」として、財産的権利を侵害された場合に慰謝料を請求するには、被害者の愛情利益や精神的平穏を強く害するような特段の事情が必要であるとしました。

【判決のポイント】

この判決が指摘するように、一般には、財産上の損害が賠償されることにより、同時に精神的苦痛も慰謝されると考えられるので、原則として物損について慰謝料の請求が認められることはないと言っていいでしょう。

例外的に認められることがあるものとしては、特別の愛着を持っているペットや深い敬愛追慕の念を抱く墓石や家屋などがあります。

しかし、交通事故で一般的に破損することが多い車両については、これらの物と比較したときに、賠償に値するほどのものかと言われると難しく、いかに愛着を持っていたとしても、基本的に車両の破損を理由とした慰謝料の請求は認められないと考えられます。

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