裁判例 【最高裁平成5年4月6日判決】
No.18被害者の内縁の配偶者が自賠法72条1項の自動車損害賠償保障事業に基づく請求をすることができるとした事案
【事案の概要】
自転車を引いて歩行中のAに本件交通事故の加害者が衝突してAは死亡した。加害者は逃走し、その自動車の保有者もわからなかった。
そこでAの内縁の妻である原告が自賠法72条1項の自動車損害賠償保障事業に基づく請求(自動車の保有者が分からない場合に被害者が損害賠償請求をすることができない場合に政府がこれを填補する制度)をしようとした事案。
自賠法72条1項にいう「被害者」に内縁の妻が該当するか問題となった。
【判決のポイント】
自賠法72条1項にいう「被害者」とは、保有者に対して損害賠償の請求をすることができる者をいうと解すべきところ、内縁の配偶者が他方の配偶者の扶養を受けている場合において、その他方の配偶者が保有者の自動車の運行によって死亡したときは、内縁の配偶者は、自己が他方の配偶者から受けることができた将来の扶養利益の喪失を損害として、保有者に対してその賠償を請求することができるものというべきであるから、内縁の配偶者は同行にいう「被害者」に当たると解するのが相当である、と判断した。