相談事例「自営業を営んでいる私はどのような金額を逸失利益として請求できるのでしょうか。」
No.67Question
50歳の男性なのですが、今回交通事故に遭ってしまい、後遺障害10級と認定されました。
後遺障害が残ってしまった場合、逸失利益を損害として請求できると聞いたのですが、自営業を営んでいる私はどのような金額を逸失利益として請求できるのでしょうか。
Answer
逸失利益は、①基礎収入×②労働能力喪失率×③就労可能年数のライプニッツ係数で導かれます。
そして、自営業者の方の①基礎収入は、事故前年の売上から変動費を除いた金額とされています。ここで変動費とは、売上の変化に応じて増減する経費のことで、仕入原価などがこれにあたります。事故の有無にかかわらず支出が余儀なくされる固定費(事務所家賃など)と異なり、事故による売上減少とともに変動費の支出を免れていることになりますので、その分売上から差し引くことになります。
次に、②労働能力喪失率に関してはその方の職業などを考慮して変化することはありますが、原則〇級であれば〇〇パーセントなどといった相場があります(労働省労働基準局長通牒(昭32.7.2基発第551号)別表労働能力喪失率表)。後遺障害等級10級であれば、労働能力喪失率は原則的に27パーセントとされています。
最後に③就労可能年数については、基本的に67歳になるまでの年数とされています。67歳を超えている方や67歳に近いご年齢の方については平均余命の半分が就労可能年数になるものとされています。年齢が50歳の場合には就労可能年数は17年となります。
またライプニッツ係数とは将来もらえるはずの金銭を現在の価値で表すための数値です。たとえば、10年後にもらえる100万円と今もらえる100万円では価値が違うと考えられています。交通事故の損害賠償ですと、分割払いの和解をするなどの場合を除き、一括して損害全額を払うことになりますので、就労可能年数ではなくライプニッツ係数を乗じるのです。17年のライプニッツ係数は11.274となります。