赤信号を無視して直進車に衝突してしまった場合の過失割合
Question

原付バイクで信号付交差点を直進走行中、うっかり赤信号を無視してしまい、交差道路を直進してきた大型トラックと衝突してしまいました。相手方は、制限速度40kmの道で80kmくらい出していたようなのですが、信号無視をしてしまった私が100パーセント悪いのでしょうか。
Answer

青信号側を走行していた四輪自動車側に、著しい過失や重過失がある場合には、それぞれの過失の度合いに応じて、四輪自動車側の過失が加算修正される場合があります。
著しい過失とは、わき見運転等著しい前方不注視(道交法70条)、酒気帯び運転(道交法65条)、速度超過では、概ね15km以上30km未満のものがこれにあたるとされています(別冊判例タイムズNo.38、民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準、312頁参照)。
また、重過失とは、酒酔い運転(道交法117条の2第1条)や、居眠り運転、無免許運転、概ね時速30km以上の速度超過等がこれにあたるとされています(別冊判例タイムズNo.38、民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準、312頁参照)。
設問では、四輪自動車側に時速30km以上の速度超過があるため、重過失にあたるものとして、四輪自動車の過失が過重される可能性が高いでしょう。
■過失割合についての実務上ポイントコーナー■
二輪車は四輪自動車との対比において交通弱者とされていますが、信号無視は極めて重大な交通違反であるため、基本過失割合も、四輪自動車同士の場合と同様100:0とされています。
もっとも、修正要素については、四輪自動車側の著しい過失・重過失(速度超過等)につき、四輪車同士の場合や、単車が青信号、四輪自動車が赤信号の場合よりも厳しく加算される傾向にあるようです。
本件事故は、(二輪車)が対面する信号機の表示に従わず、かつ、右方から加害車両が接近していたのにかかわらず、本件交差点に進入したことを主たる原因として発生したもの…他方、(四輪自動車)としても、制限速度を30km程度も上回る速度で進行したため、本件道路が直線で見通しがよいのに被害車両を発見して急制動したが即応できなかったものであり、この点に過失がある。
東京地裁H9.12.9判決要旨
この裁判例では、制限速度を30km程度超過したことに加え、現場が見通しの良い道路であり、速度超過がなければ事故回避できた可能性等から、四輪自動車側に40もの過失割合を加算修正しています。
このように、それぞれの事故態様等、具体的な事情を総合考慮して、過失割合は判断されています。