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交通事故の過失割合Q&A:タクシーのドア開放時に後方から二輪車がドアに衝突した

タクシーのドア開放時に後方から二輪車がドアに衝突した場合の過失割合

Question

タクシー運転手である私は、夜間、片側二車線の交差点で前から二番目の位置にて、信号待ちと乗客の降車を兼ねて、ハザードランプを点灯の上停車しました。

その後、お客さんを降ろすため後部座席左側のドアを開けたところ、その瞬間、私のタクシーの左側をすり抜けようとして後方から直進してきた二輪車がドアに衝突しました。

確かに、ドアを開けるときに後方確認を怠ったのは私の落ち度だと思いますが、ハザードランプを点灯しているタクシーからお客さんが下りてくることなどちょっと考えれば分かることですし、そもそも相手方二輪車がすり抜けようとしなければ事故にはならなかったと思うのですが、それでも私の一方的過失になるのでしょうか。

Answer

ドア解放車と後続二輪車の事故の基本過失割合は、前者が90、後者が10とされています(別冊判例タイムズNo.38、民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準、379頁参照)。

この基本過失割合はハザードランプや左ウインカー等の合図をしていたことを前提とするものであり、これら合図のないことは、ドア解放車側の過失を加算する修正要素とされており、また、二輪車の側にある程度の前方不注視があることも前提とされています。

ドア解放を予測させる事情のある場合、例えば、タクシーが合図を出して停止した直後等は乗客の乗降によりドア解放が予測される場合として、後続二輪車側の過失を加算する事情とされています。ドア解放車が左によっていて左側の間隔が狭く、通常二輪車がそこを通行することが予測できないような場合も同様です。

もっとも、ドアの解放が二輪車の通過直前に行われた場合には、ドア解放車側の過失の加算要素とされることもあります(以上、別冊判例タイムズNo.38、民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準、379頁参照)。

裁判例も、①二輪車10、タクシー90の過失割合を認定したものや(東京高裁H5.12.14判決)、②タクシーの一方的過失と判示したもの(京都地裁H21.7.29判決)のように、細かな事案の違い等からその判断は分かれています。

設問のケースでも、ドア解放の時点で後続二輪車がどの位置にいたか等、事故の具体的状況によって、過失割合に対する評価は異なるでしょう。

■過失割合についての実務上ポイントコーナー■

タクシーのドア解放事故につき、裁判例を紹介します。

①の裁判例(東京高裁H5.12.14判決)は、タクシーが第2車線から第1車線に車線変更をして、第1車線上の駐停車車両のない部分、(車両左側端と第1車線左側端との間隔は約1.7m)に停車させ、二段階式のドアの第1段階(約20cm)のみドアを解放したのに対し、二輪車は第1車線の右側第2車線寄りを加害車両に後続する形で時速約25kmの速度で進行したという事案に対し、

本件事故の発生については、後方の安全を確認することなく加害車両の後部左側ドアを開けた(タクシー)の過失が主因となっているものの、前方に停車していた(タクシー)の左横を何らの注意も払わず漫然と時速約25kmの速度で被害車両を運転して通過しようとした(二輪車)の過失にも起因しているものといわなければならず、したがって、その内容及び程度を勘案して1割の過失相殺を行うのが相当である。

同判決要旨

と判示しました。

他方、②の裁判例(京都地裁H21.7.29判決)では、

(二輪車が、ドア解放車の後ろに続いて停車していた後続車)の左横を通り過ぎ、ドア解放車の左後部の左横付近に差し掛かった時、上記のとおり被告車の左後部ドアが開いたため、上記ドアと原告自動二輪車が衝突した」との事実を認定した上で、「(二輪車に)タクシーである(ドア解放車)内の乗客の有無及び動静を注視することを怠っていたとの事実があったとしても、…(二輪車)が(ドア解放車)の左後部の左横付近に差し掛かった時に、…左後部ドアを開けたことなど前判示の本件事故態様にかんがみれば、(二輪車)についての上記事実を過失相殺における被害者の過失として斟酌するのは相当でない。

として、ドア解放車側の一方的過失を認定しています。

両裁判例は、二輪車においてドア解放を予測させる事情があったかという点を判断するにあたって、上記下線部分のような細かな事案の違いを総合考慮した結果、判断に違いが生じたものと考えられます。

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