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交通事故の過失割合Q&A:赤信号を無視して横断歩道を横断し車に衝突された

赤信号を無視して横断歩道を横断し車に衝突された場合の過失割合

Question

押しボタン式の歩行者用信号機のある道路(片側2車線)の横断歩道を、自転車に乗って横断していたところ、車にはねられました。相手の車のライトはついていたのですが、20kmくらい法定速度を超過していたそうです。

歩行者用信号機が赤信号(四輪車側は青)であるのを無視して横断した私の方の責任が重いのでしょうか。

Answer

歩行者用又は「歩行者・自転車専用」の表示のある信号機(以下、歩行者用等信号機という)の設置されている横断歩道又は自転車横断帯(以下、横断歩道等という)上の事故で、自転車が赤信号、自動車側が青信号の場合、基本過失割合は、前者が75、後者が25です(別冊判例タイムズNo.38、民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準、440頁)。

赤信号無視は重大な交通法規違反であるため、自転車側の基本過失割合が大きくなるのはやむを得ないところでしょう。

他方で、横断歩道上は歩行者・自転車といった交通弱者の通行が予測される場所であることから、自動車運転者にも安全運転義務違反(道交法70条)があることを前提とすると、青信号に従った自動車側にも落ち度があると言えます。

夜間の事故であることが、自転車側の過失を5程度加算する修正要素とされているのは、夜間の場合、自動車から自転車を発見することが困難であり、上記義務違反の程度が相対的に低いと考えられるからでしょう。

なお、歩行者用等信号機が設置されている場合でも、自転車が横断歩道等を走行していない場合は、通常の信号付交差点の事故の基準を用います。横断歩道等の端から外側1m~2m程度の場合でも、この基準適用の対象外です(別冊判例タイムズNo.38、民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準、434頁)。

自動車が速度超過をしていた場合、概ね時速15km以上、30km未満の超過は著しい過失、概ね時速30km以上の超過は重過失として、10~20程度自動車側の過失を加算することになります。

設問では、「夜間」で、「20kmくらい」自動車側が速度超過をしていたという事情がありますが、その他の事情がなければ、自転車側の過失のほうがやや大きくなることはやむを得ないでしょう。

■過失割合についての実務上ポイントコーナー■

自転車は、道交法上軽車両であり、車両等に含まれるものとされていますが(道交法2条8号、11号)、平成19年の道交法改正により、一定の場合に歩道通行が認められた結果(道交法63条の4)、歩行者用等信号機と車両用信号機が併設されている場所で、横断歩道上を走行する場合、自転車は歩行者用等信号機に従う旨の規定が増設されました(道交法施行令2条1項)。

以上が自転車の横断歩道上の事故につき、通常の信号機付交差点の場合と区別される根拠法規です。

なお、設問では、歩行者用信号機が「押ボタン式」という事情もありました。この押しボタン式という事情を、自転車側の過失内容の一つとして挙げた裁判例を紹介しておきます。

(自動車は)進路前方左右の安全確認を十分に行わないまま、法定速度を約20km超過するスピードで漫然と本件道路を進行した過失がある…他方、(自転車)も、幅員が約15.2mの片側2車線の本件道路を夜間に横断するに際し、歩行者用に設置された本件信号機の押しボタンを操作し、本件道路に向けて設けられた車両用信号機が赤色を表示するようにした上で横断することが可能であったにもかかわらず、同押しボタンを操作せず、かつ、左右の確認を十分に行わないまま横断を開始した過失が認められる。

大阪地裁H19.12.10判決要旨

この裁判例では、自動車が時速20kmの速度超過をしていたにもかかわらず、自転車75、自動車25の過失割合を認定しています。

もっともこの事案は、上記道交法改正前の平成18年の事故であるため、現在の基本過失割合を前提にした評価ではないのでしょう。

また、押しボタン式の点について、特に言及しなかった裁判例もあります(東京地裁八王子支部H19.7.12判決)。

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