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交通事故の過失割合Q&A:双方が青信号を主張している場合

双方が青信号を主張している場合の過失割合

Question

片側2車線の道路を自動車で直進走行中、前方の横断歩道を左方から右方へ向かって横断していた歩行者をはねてしまいました。

私の対面信号は間違いなくずっと青でした。しかし、相手の歩行者も自身の対面の歩行者用信号はずっと青だったと主張しています。

このような場合、過失割合はどのようにして認定されるのでしょうか。

Answer

横断歩道上の歩行者には強い法的保護が与えられていますが(道交法38条等参照)、信号機が設置されている場合は当然従わなければなりません。

もっとも、歩行者は横断速度が遅いことから、横断中に信号の表示が変わってしまうこともよくあるでしょう。

そのため、基本過失割合も信号の状況に応じて細かく規定されています(別冊判例タイムズNo.38、民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準66頁以下)。

信号表示に変化がない場合で、歩行者側が青、自動車側が赤信号の場合、基本過失割合は自動車の一方的過失とされています。

反対に歩行者側が赤、自動車側が青の場合、基本過失割合は歩行者70、自動車30です。

設問では、当事者双方の意見が真逆であるため、過失割合の認定は、双方の供述の信用性や、証拠とその評価の問題となるでしょう。
目撃者の供述は典型的な証拠の一つですが、特に、目撃者間でも意見が分かれているような場合、それぞれの供述の信用性が問題になるでしょう。

防犯カメラ映像は、信号自体が写っていなくても、事故の時間をかなり厳密に特定するための資料となる可能性があります。時間帯が特定できれば、信号サイクルと照合することで、当時の信号表示をかなり絞り込むことができるでしょう。

もっとも、事案によっては、客観的証拠や目撃者が入手できない場合もあるでしょう。そのような場合、信号の色が認定できないことの不利益は証明責任の問題となります。(証明責任とは、ある事実が存在することを前提とした法律効果の発生に関し、当該事実の存否につき、真偽不明【裁判官が当該事実の存在につき確信を抱けない状態】の場合は、その事実の存在を前提とする法律効果が生じないリスクを負う責任)(参考リンク:飲酒運転の自転車相手の事故)の問題となります。

■過失割合についての実務上ポイントコーナー■

交通事故の損害賠償請求として典型的なものは、民法709条の不法行為責任や、運行供用者に対する自賠法3条に基づく損害賠償請求が挙げられます。
不法行為責任構成の場合、原告の請求が認容されるためには、相手方に過失(または故意)があったことを、原告側が主張・立証しなければなりません。
他方、過失相殺(民法722条)は被告側の抗弁であるため、原告側の過失を被告が主張・立証しなければなりません。

被告には、過失相殺を主張する他にも、自身の被った損害について反訴や別訴を提起するという手段もありますが、この場合でも反訴原告・別訴原告として、相手方の過失を主張・立証することになります。
なお、自賠法3条による請求の場合は、過失の立証責任が運行供用者側に転換されているため、通常、「無過失」の立証責任が被告側に存することとなります。

双方青信号主張の場合で、信号の色が立証困難な事案では、上記の証明責任の観点から、原告の請求を棄却すべきか、原告の請求は認めた上で、過失相殺を否定すべきか、双方に過失割合を認定すべきか等、それぞれ判断が分かれています。

まず自動車同士の事故の裁判例を紹介します。

裁判例①

不法行為における「過失」の存在は規範的評価に関するものであるところ、右「過失」の存在により損害賠償請求権の成立という法律効果を受ける原告らに、この評価を成立させるに足りる具体的事実についての立証責任があることは明らかである。

ところが、右に判示したとおり、本件事故当時の本件交差点の信号の色は不明であるといわざるをえず、…本件交差点の構造によると、被告車両が青色信号にしたがって本件交差点を直進するときは、被告には過失はまったく存在しないとするのが相当である。

…本件事故当時の本件交差点の信号の色は不明であり、結局、被告に過失が存在するか否かを認定することができない…このことによる不利益(は)立証責任を負担する原告らが負う結果、原告らの請求は棄却を免れない。

神戸地裁H9.7.23判決要旨

この事案は不法行為責任の事案でした。同裁判例は証明責任の原則に従い、被告側の「過失」について原告側の証明不十分として、原告の請求を棄却したものです。

次に自賠法3条の場合の裁判例を紹介します。

裁判例②

本件全証拠によっても、本件信号の色についてはこれを認定することはできず、結局、これを認定することができないことによる不利益は、立証責任を負担する被告が負うものといわざるをえない。

そして、原告車両の対面信号が青色であり、被告車両の対面信号が赤色であった場合には、原告には、過失相殺の対象となるべき過失は存在しないから、被告の主張する自動車損害賠償保障法3条ただし書き所定の免責の抗弁、及び、民法722条2項所定の過失相殺の抗弁は、いずれも採用することができない。

神戸地裁H10.3.19判決要旨

前述のとおり、自賠法3条による請求の場合、同条但し書きにより、過失の立証責任は運行供用者である被告側に転換されています。すなわち、②の裁判例も証明責任の原則に従い、原告の請求を認容したものと読み取れます。

注意しなければならないのは、交差道路の出会い頭事故一般につき、必ずしも請求棄却との判断が下されるわけではないという点です。

①の裁判例も、まず事故現場たる交差点の構造(双方片側2車線以上の広い道路、原告被告間の関係では見通しが悪い等)に着目しているように、当該交差点、当該事故態様では、被告車両が青信号に従い本件交差点を直進していたとすれば過失がないが、その旨の合理的疑いを差し挟む余地があるという内容と解釈することができます。

すなわち、例え青信号であったとしても、その他の事情から過失が認定できる場合には、別の判断が下されることがありうるということです。

次の2つの裁判例は、当事者双方がそれぞれ相手方に対し損害賠償を請求している事案です。

裁判例③

別紙信号周期表によると、訴外甲山の対面信号が青色でなく、赤色又は黄色の場合であっても、被告丙野の対面信号が赤色の場合があること、被告丙野の対面信号が青色でなく、赤色又は黄色の場合であっても、訴外甲山の対面信号が赤色の場合があることが認められる。

しかしながら、…訴外甲山又は被告丙野の対面信号が赤色であったことを認めるに足りる証拠はない…し、訴外甲山又は被告丙野の対面信号が黄色であったことを認めるに足りる証拠もない。したがって、結局、訴外甲山又は被告丙野の対面信号の表示を特定することができる証拠がないこととなる。

…また、本件交差点は、交差する道路間の見通しが良くないことが認められる一方、訴外甲山及び被告丙野は、互いに本件交差点に進入する相手方車両を発見し、衝突を回避することができたと認めるに足りる証拠はなく、訴外甲山及び被告丙野が、前後左右を十分に確認しないまま、漫然と本件交差点に進入したと認めることもできない。

…原告及び被告会社の請求は、その余の点について判断するまでもなく、いずれもその理由がない。

東京地裁H16.6.16判決要旨

裁判例③では、当事者双方が、相手方対面信号の色が赤であったことの他、相手方が交差点に進入する際に前後左右を確認すべき義務を怠ったことをそれぞれ相手方の過失の評価根拠事実として主張していました。

しかし、前者は真偽不明とされ、後者も排斥された結果(上記下線部分)、当事者双方の請求はともに棄却されています。

これらの裁判例に対し、次に挙げる裁判例④では、当事者双方の運転者の供述を信用できないとして、双方とも相手方の対面信号の色を立証できていない旨判示した上で、当事者双方の過失を別途認定し、それぞれの過失割合を判示しています。

裁判例④

(甲野の対面信号が赤であったこと)を、損保ジャパンらは、甲野の対面信号が青であったこと(乙山の対面信号が赤であったこと)を、それぞれ立証できたと認めることはできない…本件事故は、乙山及び甲野双方の前方不注視を原因として発生したものと認めざるを得ない。

そして、本件事故現場の東西道路及び南北道路は、それぞれ車道の幅員が約5.5mの片側1車線の道路であること、本件交差点に、乙山車が甲野車の右側(甲野車が乙山車の左側)から進入したことからすれば、本件事故の基本的な過失割合は、乙山4割、甲野6割とするのが相当である。

…乙山は、本件事故当時、制限速度をオーバーする時速約60kmに近い速度を出していたと認められることから、乙山に前記基本的な過失割合から1割の加算修正をする。

名古屋地裁H16.10.15判決要旨

裁判例④では、事故現場たる交差点が、互いに幅員5.5m片側1車線道路であったことや互いの見通しは悪いことや、少なくとも乙山運転車両には速度超過の落ち度があったことなどの事情が適示されています。

これら細かな事案の違いから、前方注意義務違反という過失の点を双方に認定したことが、判決内容の違いとなったものと考えられます。

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