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交通事故の過失割合Q&A:左側通行をしていた歩行者をはねてしまった

左側通行をしていた歩行者をはねてしまった場合の過失割合

Question

住宅街の道路(幅員約4m程度、歩車道の区別なし)を早朝に直進走行中、左側通行をしていた歩行者をはねてしまいました。

私の落ち度が大きいことは承知していますが、道交法上、歩行者は右側通行のはずなので、幾分かは歩行者側の過失とされないのでしょうか。

Answer

自動車側の一方的過失とされる可能性もあります。

確かに、道交法上、歩車道の区別のない道路における歩行者は右側通行と規定されています(道交法10条1項)。

また、歩車道の区別のない道路における歩行者と自動車の基本過失割合についても、歩行者が右側通行をしている場合と左側通行をしている場合で区別され、前者は歩行者0、自動車100、後者は歩行者5、自動車95とされています。

もっとも、この区別は、歩行者が左側端通行を許されていないにもかかわらず、左側端を通行していた場合で、かつ、右側端を通行していたならば、事故発生を容易に回避し得たような場合等、歩行者が左側を通行していたことと事故発生の間に因果関係が認められるような場合を想定したものです(別冊判例タイムズ38号民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂5版、121頁参照)。

裁判例でも、歩行者の左側通行につき、当該事故現場の道路状況等から、過失相殺を認めず、自動車側の一方的過失と認定したものがあります(横浜地裁平成21.5.14判決)。

歩行者の左側通行が過失相殺の対象とされるかどうかについては、その、当該事故状況や道路の状況等により、個別に判断せざるを得ないでしょう。

■過失割合についての実務上ポイントコーナー■

上記裁判例では、道路の状況等について、「住宅街を通る道路で…道幅約4m程度…歩車道の区別なく…道路には電信柱も立っている…道路の北側には民家が並び…反対の南側はP鉄道の線路でガードレールとフェンスが設置されている」旨認定しています。 また、歩行者の歩いていた位置についても、「道路北端から約1.4mのあたりを歩行していた」と認定しました。その上で、以下のように判示し自動車側の一方的過失を認定しています。

この程度の幅の道路においては、歩行者が(左)端から約1.4mの位置を歩いても、道路中央を車両の通行を妨げるような状態で歩いていたものではなく、車両のすれ違いも慎重に行わざるを得ないようなこの道路では、(歩行者)の歩いていた位置を殊更に、問題とする余地はない。むしろ、住宅街の道路を走行するにあたっては、車両の運転者の方が十分に注意を行うべきということができる。

そして、被告は左側通行を問題にするが、本件事故は、左側通行をしていたから生じた事故ではなく、被告の前方不注視が招いた事故と認められ、歩行者が反対側の線路のフェンス側ではなく、民家のある側を歩行することは、歩行者の安心感からも肯定できる歩き方であり、左側通行を理由に、過失相殺することもできない。

横浜地裁H21.5.14判決要旨

歩行者が右側通行をしていた場合、歩行者に近い側を走行するのは対向自動車になります。その結果、歩行者は自動車の存在が容易に認識可能となり、不用意なはみ出しによる事故等の防止につながるとの効果が期待できます。

道交法10条1項の趣旨はこのような理由によるものと考えられるところ、幅員の狭い道路においては、同一進行者も対向車も歩行者のそばを走行せざるを得ないことになり、上記事故防止効果に期待できないことになるでしょう。
上記裁判例もこのような観点から、道路の具体的な幅員等を細かに認定したものと考えられます。

設問は、道路の細かい状況等の事情を省略しているため、一概に結論を出すことはできませんが、道路の幅員の狭さという点に着目すると上記裁判例に近い判断が下される可能性が高いと考えられます。

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