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交通事故の過失割合Q&A:前方道路に横たわっている人を回避しきれず轢いてしまった

前方道路に横たわっている人を回避しきれず轢いてしまった場合の過失割合

Question

深夜に片側1車線の道路を直進走行中、進行方向前方に道路横臥(横たわっている)者がいて、とっさに急ブレーキをかけたのですが回避しきれず轢いてしまいました。相手は酔っぱらって寝ていたようです。
まさか道路に寝ころぶような人がいるとは思いませんし、私の一方的過失にはならないと思うのですが、過失割合はどのくらいなのでしょうか。

Answer

路上横臥者と自動車の事故における基本過失割合は、昼間の場合、横臥者30、自動車70、夜間の場合横臥者50、自動車50とされています。

設問で明らかとなっている事情のみを前提にすれば、基本過失割合どおりの、横臥者50、自動車50となる可能性が高いと考えられます。

もっとも、昼間と夜間で基本過失割合の違いがあるのは、視認性の違いによるもの、すなわち、昼間の場合、自動車が横臥者を事前に発見することが比較的容易であるためです。そのため事故態様も、昼間と夜間では想定されるケースに違いがあります(民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂5版、123頁、125頁参照)。

そのため、夜間の場合、現場が街灯等により明るく見通しの良い状況であった場合、自動車側の過失を加算修正することがあります(参考裁判例、東京地裁平成17.8.31判決)。

その他にも、事故現場の状況が、住宅街の道路のように、人の横断・通行が頻繁に予測される道路の場合、反対に幹線道路のように交通量が多く幅員の広い道路のように、通常路上横臥者の存在が予想されず、車両においても高速走行し、回避する余地に制約のあるような場合、過失割合の修正要素とされる場合があるでしょう。

■過失割合についての実務上ポイントコーナー■

横断歩道を通行している歩行者が強く保護されていることは、拙稿でも何度か取り上げたところです。例えば、信号のない横断歩道を横断中の歩行者と自動車の事故では、基本過失割合が自動車100とされています。

これに対し、横断歩道上で横臥している者や、四つん這いになっている者や、座り込んでいる者については、上記、道路横臥者と自動車の事故の基準を用いることになるでしょう(別冊判例タイムズ38号民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂5版、123頁参照)。

これは、そもそも、横臥者や座り込んでいる者はもちろん、四つん這いをしているものは、道交法の想定する「横断」とは言い難く、その速度や自動車からの視認性等、通常の歩行横断者とは区別されるべきと考えられるからでしょう。

以下に挙げる高裁判例では、夜間の信号付交差点で、幹線道路をまたぐ横断歩道を四つん這いで動いていたところを、青信号に従い直進走行してきた自動車が轢過したという事案で、「極めて危険の高い軽率な行為があった以上、(四つん這いをしていた者)の過失も少ないとはいえない」旨を述べた上で、以下のように判示しました。

(自動車側の)の前方不注視が著しかったことは原判決が認定するとおりであり、重大な過失と評価することができ、また、衝突を感じたのに直ちに停止しなかったことによる過失も極めて大きいと評価できるから、(自動車側)の過失は(四つん這いをしていた者)の過失に比べてはるかに大きく、(自動車側)の過失割合を7割、(四つん這いをしていた者)の過失割合を3割と認めるのが相当である。

東京高裁H11.12.16判決要旨

この高裁判例は、自動車運転者が、衝突まで被害者に全く気づかないという前方不注視の点、衝突を感じたのに直ちに停止しなかった点から、事故現場が幹線道路であることを差し引いても、自動車側の過失を20程度加算修正すべきと判断したものと読み取れます。

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