当事者間で過失割合の示談が成立した場合、その内容通りに支払いを受けられる?
Question
当事者間で交通事故の過失割合を決めて示談した場合、その内容で保険金を支払ってもらえるでしょうか?
Answer
交通事故における示談交渉は、本来的には、事故当事者間の話し合いとして行われるものと言えます。
しかしながら、交通事故の損害賠償額は高額に上ることも多く、当事者の資力では賠償不可能な場合もあるでしょうし、損害賠償額が数十万円程度であったとしても、まとまった金銭を気軽に支払うことの出来る方ばかりではありません。
自賠責保険だけでなく、任意保険に加入し、万一の事故に備えることが一般的となっているのはそのためでしょう。
もっとも、任意保険会社が、当事者間で示談した内容どおりの保険金を支払ってくれるわけではありません。任意保険(対人・対物賠償保険)は、保険金を支払う場合として、約款上「対人(対物)事故により、被保険者が法律上の損害賠償責任を負担することによって損害を被った場合」というように規定していることが通常です。
訴訟を提起し、確定判決を取得した場合であれば、法律上の損害賠償責任の範囲は明確になるでしょうが、当事者間の示談内容がこれと一致しているとは限らないのです。
したがって、保険会社の同意なく、当事者間で示談をまとめたとしても、必ずしもその内容通りの保険金支払いがなされるとは限りません。
なお、自賠責保険についても、重過失減額の前提たる過失割合は、自賠責保険の損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所が調査の上認定することとなりますので、当事者間で50:50と定めたとしても、重過失減額を回避できるとは限りません。