交通事故 用語集
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は
バレ・リュー症候群
バレ・リュー症候群とは、交通事故受傷などで頚部を走っている後部交感神経が損傷し、交感神経が過度に緊張して自律神経のバランスが崩れ、さまざまな障害が出ているような場合に呼ばれることのあるものです。
症状としては、頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気、目の疲れ、視力低下など検査では異常がみられない不定愁訴が現れることがあります。
症状が残存した場合、等級が認定されることもありますが、自覚症状が主体であるため、多くはありません。
犯罪被害者保護法
犯罪被害者保護法とは、正式名称を「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」といいます。
それまでの刑事手続では十分とはいえなかった犯罪被害者等の権利利益の保護を図るため、被害者の公判手続の傍聴や公判記録の閲覧等の権利を強化するとともに、損害賠償請求に関する紛争を簡易かつ迅速に解決するために一定の事件について損害賠償命令制度を設け、民事裁判を起こす負担を軽減できるようにしました。
なお、損害賠償命令制度について、過失犯は対象となっていないため、交通事故の事案は対象とならないことがほとんどです。
ひ
被害者側の過失
この論理は、過失相殺が原則として被害者本人に過失があった場合に行われるところ、「被害者側」の誰かに過失があって損害が発生した場合にも過失相殺を認めようというもので、公平の理念により、このような考えが採用されています。
「被害者側」の範囲が問題となりますが、被害者と身分上ないしは生活関係上一体をなすとみられる関係にある者をいうとされており、被害者が幼児である場合の父母やその被用者である家事使用人(最高裁昭和42年6月27日判決)、被害者が夫の運転する車に同乗していた妻である場合の夫(最高裁昭和51年3月25日判決)などが「被害者側」に含まれるとされています。
後者の夫婦の例では、加害者が夫に行うはずの求償の問題も一挙に解決することができることも利点として挙げられています。
過失割合と過失相殺について被害者参加制度
被害者参加制度とは、一定の事件の被害者や遺族等が、刑事裁判に参加して、公判期日に出席したり、被告人質問などを行うことができるというものです。
被害者等は、まず事件を担当する検察官に対して刑事裁判への参加を申し出ます。
そして、申出を受けた検察官が、裁判所に対して被害者参加の通知をし、裁判所が相当と判断して許可すれば、被害者参加人として刑事裁判に参加できます。(法務省HP)
被害者請求
被害者請求とは、自賠法16条に基づき、被害者が、加害者側の自賠責保険(共済)に対し、損害賠償額の請求をすることをいいます。
被害者保護に鑑み、保有者に運行供用者責任が発生するという前提で、被害者が自賠責保険会社(共済)に対し、保険金額の範囲内で、損害賠償を直接請求することができることとなっています。
被害者請求は、煩雑な手続きを被害者自身で対応しなければならない負担はありますが、示談成立前に自賠責の限度額で賠償金の支払いを受けることができるなど、大きな経済的メリットが得られることもあります。
被害者の素因
被害者の素因とは、被害者の素質が損害の発生・拡大に寄与した場合に問題となるもので、被害者の性格等の心因的要因と被害者の身体的な特徴の身体的要因に区別されています。
これらの存在が認められると、生じた損害の全てを加害者に負担させるのは妥当ではないという公平の観点から、程度に応じて賠償額の減額がなされることがあります。
ただし、平均的な人と異なる特徴を持っていたからといって、必ずしも減額をされるわけではないので注意が必要です。
非器質性精神障害
非器質性精神障害とは、うつ病、PTSDといった、外力による脳に対する器質的損傷を伴わずに発症する精神障害のことをいいます。
事故以外の、被害者の性格、職場や家庭環境といった原因も影響して発症することもあるので、事故によって発症したといえるのかどうかが問題となることが多く、損害賠償額の減額が行われることもあります。
また、後遺障害として認定された場合であっても、将来回復する可能性があることから、労働能力喪失期間について制限されることがあります。
非弁行為
非弁行為とは、弁護士法72条が禁止している法律事務の取り扱い等を行うことをいいます。
法律事務を取り扱う資格を持たないのに、被害者の代わりに示談を行おうとする示談屋といわれるものが存在するようです。
非弁行為であり違法であるうえ、さらなるトラブルにつながるおそれもあるので、だまされて依頼しないように注意が必要です。
評価損(格落ち)
評価損とは、事故当時の車両価格と修理後の車両価格の差額をいいます。
評価損には、修理によっても機能や外観に回復できない欠陥が存在する場合の損害と、事故歴があるという理由で車両の交換価値が下落する場合の損害があります。
このうち、後者については、現実の客観的な価値の低下がないとか、事故後も車両を使用し続ける場合この損害が現実化しないなどとして、損害として認められないことがあります。
実際に評価損の請求が認められるのは、外国車又は国産人気車種で初度登録から時間があまり経過していないような場合が多いようです。
修理費用30%の評価損を認めさせることに成功した事例ふ
ファミリーバイク特約
ファミリーバイク特約とは、自動車保険(以下、「主契約」といいます。)につけられる特約で、125cc以下のバイクで記名被保険者とその家族(配偶者、同居居の親族、別居の未婚の子)が運転中に事故を起こした場合、主契約と同じ条件で相手に賠償金を支払うものをいいます。
なお、人身傷害補償などを付けられることもあります。
バイクの任意保険に加入する場合よりも保険料が安くなる場合があり、主契約の年齢条件に拘束されない、ファミリーバイク特約を使用しても、主契約の保険料が上がらないなどの特徴があります。
不起訴処分
不起訴処分とは、刑事事件について検察官が公訴を提起しない処分のことをいいます。
不起訴処分がされる場合としては、(1)訴訟条件を欠く場合、(2)被疑事実が罪とならない場合、(3)犯罪の嫌疑が認められない(被疑事実につき、犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分等)場合、(4)証拠が十分でも犯人の性格・年齢及び境遇、犯罪の軽重・情状などを考慮して起訴を必要としない判断をした場合の起訴猶予などがあります(検察庁HP)。
交通事故においては、過失運転致死傷罪等の罪に問われることがありますが、不起訴処分ないし略式処分による罰金又は科料の処分となることが多いのが現状です。
物的損害
物的損害(物件損害)とは、人身損害(生命又は身体を害したことによって生じた損害)以外の損害のことをいいます。
車両の修理費用や、修理期間中の代車費用のほか、営業車が修理のために使用できず仕事に支障が出た場合の損害賠償なども含まれます。
なお、人身損害と異なり、自賠法3条(運行供用者責任)によっては賠償されません。
そのため、物的損害について自賠責から保険金が支払われることはありません(自賠法3条、同11条)。
物損の賠償項目はこちら不法行為責任(民法709条)
不法行為責任とは、故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者がこれによって生じた損害を賠償する責任のことをいい、民法709条で定められています。
交通事故の場合、自賠法3条に基づく運行供用者責任として損害賠償請求をすることができる場合もありますが、自賠法3条の責任は人身損害に関する損害賠償に限られていますので、物的損害の損害賠償を請求する場合は、不法行為責任が重要となります。
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平均余命
平均余命とは、厚生労働省が発表している簡易生命表に記載されている統計に基づき算出された余命のことをいいます。
逸失利益を算定する場合、労働能力喪失期間は、原則として症状固定になった年齢から67歳までの就労可能年数としますが、年齢をある程度重ねていくとこの期間が非常に短くなってしまうことから、67歳までの就労可能年数と平均余命の2分の1を比較して、長い方を労働能力喪失期間として計算することがあります。
ただし、裁判所が必ずこのような計算を採用するわけではなく、あくまでも一つの目安であることに注意すべきです。
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ホフマン方式
ホフマン方式とは、無利息債権の弁済期到来前にその現在価格を算定する計算方法の1つで、単利で計算する方式をいいます。
交通事故において、実際には将来発生するような損害(逸失利益、将来介護費など)の賠償を現在の時点で請求するときに問題となります。
複利式で計算する方式としてライプニッツ方式があり、現在では、ライプニッツ方式を用いることが一般的となっています。
保有者
保有者とは、自賠法2条3号に規定される、「自動車の所有者その他の自動車を使用する権利を有する者で、事故のために自動車を運行の用に供するもの」をいいます。
保有者といえるには、所有権、使用貸借契約、賃貸借契約、委任、その他いかなる法律関係によるかを問いませんが、正当な権限に基づく使用権がなければなりません。
なお、泥棒に自動車を盗まれて事故を起こされたような場合には、責任を負わないこともあります。
保有者は、原則として、自賠法3条に基づき、自動車の運行によって他人に生じた人身損害を賠償する責任を負います。
人身損害のみが対象となり、物件損害は対象外となるので注意が必要です。